2012年8月2日木曜日

甲南大学公開講座レポ/その3


こんにちは、恵美須パープルです。
甲南大学の春期公開講座「子どもの才能を伸ばす環境づくり」の備忘録3回目です。
今回は心理学の視点から。講師は学生相談室の主任カウンセラーを務める教授で、自らも母親である先生が「主体性を育む子育て環境」について語られました。

《その3 子どもの主体性を育てるために大切なこと》

大学内の相談室には年間約3000件もの相談があるそうですが、最近の傾向として、入り口でノックせずに柱の陰に立ち、スタッフが声をかけるまでは用件を言い出せない学生が少なくないといいます。学生に内面を語る言葉が育っていないことを心配されていました。また、保護者の相談が1割を占めるのも、20年前にはなかった現象だそうです。

子育てのゴールって、何? 
先生によると、1人で内面を抱えられ、心に責任を持つことができ、与えられた人生を受け止められる、と子供が思えるようになったときが子育てのゴールだといっていいのではないかということ。
1人で主体的に生きられる力を持ったときということです。
ということは、悩みを相談したいのにどう聞いたらいいかわからない、子供の相談を親がしに来るというのは、そこに至っていないのでしょうか。

近年、さまざまな実験によって「人の顔に敏感に反応する」とか「初めて見たものを親だと思う」、また「同じ脳の部分か活性化して同じ動きをする」といった新生児の能力が発見されています。そしてそのたびに(特に日本では)子育てにはあれがいい、いやこれがいいと右往左往させられているようです。
日本でもかつては欧米式が注目された時期があり、そういえば朝ドラの原作エッセイ「ゲゲゲの女房」の中で、決まった時間にミルクをあげろと言われこんなにおっぱいが出るのに捨てるなんてもったいない…と著者(水木しげるの奥さん)が嘆いていたのを思い出します。
日本では1985年に母子手帳が大改訂されて以降は母子の絆協調型の子育て推奨になっていますが、言われていることを100%信じ込んでうまくいかなければノイローゼに苦しむばかり。自分にどう取り入れるかを考えながら、柔軟に子育てするのが理想的といえます。

では、子供の主体性を育てるにはどうしたらいいのでしょうか。
主体性は内面の情動とつながった言葉とともに育まれていくものだそうです。たとえば公園で犬と出会ったとします。家に帰ってから図鑑を広げ「あれはプードルという犬だよ」と教えるような知的学習をしているばかりでは主体性が育ちにくいそうです。「ふわふわして、かわいいワンちゃんだね」などと子供に語りかけて共感していくことが大切。特に親の期待に合わせて育った子供には、こうした言葉が足りないようです。
また、子供が言語以外で発するさまざまなサインも感じ取ってあげてほしい、とおっしゃっていました。

子育てに絶対はなく時代とともに変わっていくもの。
そして、科学的知識や情報は必要とはいえ、それを取捨選択する親の主体性も重要だということです。
子供に何かを教えようとするよりも、まずは寄り添い共にいることが親の役割なんだろうなと実感。
それは、親の介護やペットとの暮らしなどにもいえることだと思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿